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株式会社日立システムズ

専門家コラム:組織力が蘇る、LEGO® SERIOUS PLAY という手法 ~共感と共創の技術~

6.「最強チームの創り方:国際会議をLEGO® SERIOUS PLAYを活用して運営する」
~株式会社グランマの挑戦~

まず、甚だ恐縮ですが、最初に質問です。
皆さんは、BOPビジネスという言葉を聞かれたことがあるでしょうか?

経産省の傘下にある、BOPビジネス支援センターによれば、BOPとは、Base of the (Economic) Pyramidの略で、“一人当たりの年間所得が、2002年購買力平価で3,000ドル以下の階層(全世界人口の約7割である約40億人が属するとされる)”を指します。つまり、年間所得額を基に、ピラミッド型の人口分布図を作ると、一番下の層にあたるので、そのように称されています。BOPビジネスとは、この階層に属するヒトや国を対象(消費者、生産者、販売者のいずれか、またはその組み合わせ)とした、持続可能なビジネスであり、現地におけるさまざまな社会的課題(水、生活必需品、サービスの提供、貧困削減など)の解決に資することが期待される、新たなビジネスモデルと定義されています。

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分化会会議主催者の株式会社グランマ
本村拓人氏(写真左)、熊坂惟氏(写真右)

一方、株式会社グランマ(URL: http://granma-port.jp/aboutus/ 、およびhttp://granma.asia/business/)は、“ビジネスを通じて、貧困の解決に寄与することをめざし、その手段として「社会の最大多数の最大幸福を実現するプラットフォーム」を創造する”という理念の下、代表者の本村拓人氏を筆頭に、山本尚毅氏、熊坂惟氏ら20代の若い世代が、BOPビジネスに特化し、2009年に設立したベンチャー企業です。当初は、日本企業に、BOPに属する開発途上国の市場調査や進出へのコンサルティングを提供していましたが、現在はフィリピンにて、インドの一個人が開発した、低価格で簡易に製造可能な生理用ナプキンを製造・販売し、さらにフィリピンとパキスタンでは蚊帳を縫製し、スクリーンにして製造・販売するといった事業化プロジェクトにも取り組んでいます。

筆者は、彼らの志に賛同し、同社の社員や外部の支持者を交えて、ビジョンやゴール創り、個々人のアクション創りを継続的に手伝ってきました。その模様は、下記(1)のWebページに記録されています。

そうした経緯もあり、同社の代表、本村拓人氏から、彼らが主催する国際会議の進行役を依頼されたのです。期間は、2012年11月5日から7日までの3日間、筆者と当社のパートナー、シンガポール在住のKris Tayが担当しました。

会議の舞台は、マレーシア政府が肝いりで開催した“World Innovation Forum” (期間:2012年11月3日~7日、場所:クアラルンプール)。この中の“Asia Grassroot Innovation Design Competition and Forum”という部会です。Grassroot Innovationとは、草の根、つまり、大きな企業組織からではなく、町や村の発明家、一介の個人が生んだ新たな技術やアイデアのこと。これを各国の政府機関やNPO団体のメンバーが、アジアの国境を超えるビジネスとして実らせる仕組みや、金融支援や協力体制を協議するために集まったのです。参加者は、アジアを中心とした11か国:インド、ネパール、スリランカ、バングラデッシュ、インドネシア、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、フィリピン、日本からも加えて20数名におよびました。

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(Dr. Anil Gupta of The Honey Bee Networkを囲み、各国の参加者と

写真中央のGupta氏は、Indian Institute of Managementの教授でもあり、インドにおける、Grassroot Innovationのグルです。会議では“How Grassroots Innovation Can Be Used to Alleviate Poverty”(草の根レベルのイノベーションが、貧困問題を緩和するか)というテーマで素晴らしいプレゼンテーションを行いました。World Innovation Forumでも数々の部会に招請され、超多忙な人物でしたが、この会議に出席してくれました。詳しくは、下記(2)のWebページ(全文英語表記)に掲載されています。

さて、会議を主催するにあたり、依頼主の本村拓人代表は、次のような期待と懸念を持っていました。

  • このたびは、多様な国の関係者が初めて一堂に会する機会です。全員が各国の現状を率直に述べると共に、他国の現状を尊重して聞く、質疑応答をできる場にしたい。その上で、3日間の会議の結果として、おのおのが、他国の状況を理解した上で、自国と他国において、将来につながる具体的なアクションを決めておきたい。
  • 一方、各国の現状には大きな差があるので、進んでいる国の参加者は、強く自分たちの創ったシステムや経験を基に、他国にも同様の仕組みを創るように主張する懸念がある。また、地位の高い参加者、英語力の強い発言者は、会議の進行のイニシアチブを採ろうとする懸念もある。それでは、将来に皆が共同して何かをしようという機会にならない。

さらに、

  • 筆者は、本村氏と会議の進行と管理を協議する内に、参加時間を特定できないゲストスピーカーが居ること、また、マレーシア政府の要人が飛び入りするかもしれないことが分かりました。この対策も講じる課題も見えてきました。

よろしければ、下記のWebサイトの3分間のビデオをご覧ください。会議の雰囲気やどのような参加者やゲストがいらしたのか、俯瞰していただけると思います。

以上の期待と懸念を踏まえ、筆者とシンガポールのKris Tayは、進行役のファシリテーターやシナリオを臨機応変に変更できるよう、随時、進行役とフォロー役を交代して行うことや、LEGO® SERIOUS PLAY(以下、LSP)以外のリクレーションを兼ねた息抜きのワークショップも含めるように取り決めておきました。進行役のファシリテーターは、ワークショップと参加者に専心し、フォロー役は、国際フォーラムの動きを感知し、進行役が疲れた時にもさっと替われるようにしたのです。

そして、会議は、次のような構成で行いました。

第1日目:LSPを使ったワークショップ

目的は、チームビルディングという名目で、参加者相互の価値観や考え方の違いを理解し、さらに、今回の会議における、共通のゴールを明確にすることに主眼を置き、約5時間のセッションを行いました。


本村拓人氏の作品の周りに集まる参加者たち


じっと聞き入る、株式会社貞雄、House Vision代表 土屋貞雄氏


他のグループメンバーの作品を通しての発表に聞き入る参加者たち


発表者に、作品を通して質問するほかの参加者

第2日目:プレゼンテーション

各国の参加者による、プレゼンテーションが主な一日でした。ゲストスピーカーのほか、マレーシアの要人、テレビ局のインタビューなどの飛び入りもありましたが、各国の現状を交換し合いました。


多摩大学大学院教授 紺野登「デザイン思考による知識の創造」


BASIX (インド)のAmit Mehta氏によるプレゼンテーション

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飛び入りゲストのDr.Maximus Johnity Ongkili氏(マレーシア・Ministry of Science & Technology Innovationの大臣)(写真左)、
飛び入りのマレーシア ケーブルTV局Astroのスタッフ(写真右)

第3日目:LSPを使ったワークショップ

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この日は、参加者が、2日間の会議、プレゼンテーションを経てお互いの気づき:これから相互にどのように協力して、どのような方向、目標をめざすのか、また、各人がどのようなアクションを採るのかを確認し合うのが狙いです。

参加者には、作品を通じて、チームごとのプレゼンテーションとしてどのような未来をめざすのか、また、個人としてどのようなアクションを選択するのかを語って貰いました。

第3日目の晩は、近所のレストランで打ち上げの大宴会をする予定でしたが、生憎、大雨になり、宿泊していたビジネスホテルのバー兼食堂でささやかな食事会となりました。

ここで予期せぬ出来事が起きました。ネパールから参加していた男性二人が、ドラムを叩き出したのです。すると、会議では控えめだった、ラオス、カンボジア、フィリピンの女性らが踊りだしたのです。彼女達の音頭で、ほかの参加者、主催者の本村氏やサポートスタッフ、筆者らを引っぱり出し、大きな踊りの輪を広げていったのです。

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下は、数秒の動画ですが、ご覧ください。参加者の熱気を感じてもらえると思います。

LSPを活用したワークショップの意義

「LSPを活用したワークショップは、この会議に何が貢献できたのでしょうか?」

  • 伝統的な会議の場では、どうしても地位、経験、発言力の強い人間が、場を仕切ってしまいます。そのため、会議の初日は、LSPのワークショップのエチケットやルールを説明した上で、開始しました。

しかし、想定していた通り、参加者の中には、ワークショップのルールを無視して、自説の演説をしたり、ほかのチームへ介入したりと、ほかの参加者の発言を妨げる方が居ました。ファシリテーターを2名体制にしていたので、もう一人が、その妨害者をルールに沿ってワークショップを行うように監視、また、その方の感情を害さないように “やんわりと”促す役も担いました。

その結果、英語の発言が上手下手と問わず、各国の参加者が、全員、公平に発言し、お互いの発言を尊重し、相互に共有できる結論に導くことができたのだと思います。

  • ゲストスピーカーの登場時間が特定できないことや、飛び入りのゲストへの対処など、起こり得るすべての課題に事前に備えることは不可能でも、予め、基本方針を確認し、随時バトンタッチできるという体制をとっておいたことは功を奏しました。大きな混乱や変更はあったものの、主催者側、進行役とフォロー役のチームワークにより、会議の参加者以外のコントロール平静に対処できたのです。
  • 3日間の会議の結果、参加者同士の絆、チーム創りにも貢献できたのではないかと思います。もし“強いチーム”とは、「個々人が自由に発言することができ、かつ、相手の発言を尊重できること、さらに、共有したゴールに向かって、各自がお互いの責務を果たす、行動を起こすメンバーによって構成される」という仮の定義をしてみると、彼らはそのようなチームになるお手伝いができたのではないでしょうか。

ちなみに、現在、株式会社グランマが取り組んでいる、フィリピン、パキスタン、インドネシアでのプロジェクトでも、この会議の直接の参加者、あるいは、参加者のネットワークからつながった組織がパートナーとして関わっています。まさにこの会議が、未来のプロジェクトにつなげる役目を果たしたと言っても過言ではないでしょう。

よろしければ下記(3)のWebページから、プロジェクトの詳細をご覧ください。

今回の会議のファシリテーションを行う機会をいただいた、主催者の株式会社グランマの本村拓人氏、熊坂惟氏、それに、サポートいただいた、スタッフのAmy Brennenさん、撮影クルーの並木大典氏らには、謝意を述べたいと思います。

(その他の参加者、およびゲスト名)
Mr. Amit Mehta, BASIX (India)
Mr. Upmanyu Patil, Sakhi Retail Pvt.Ltd.(India)
Mr. Naresh Newton, Sewalanka Foundation (Sri Lanka)
Mr. Yogendra Chitrakar, Environmental Camps for Conservation
    Awareness (Nepal)
Mr. Uttam Raj Regmi, Nepal CRS Company
Mr. Suman Shekhar Manandhar and Mr. Puspa Raj Tiwari, Local
    Initiatives for Biodiversity, Research and Development (Nepal)
Mr. Nurul Amin, IDE Bangladesh
Mr. Hoang Van Tuyen, The National Institute of Science and Technology
    Policy and Strategy (Vietnam)
Mr. Nguyen Van Quang, IDE Vietnam
Mr. Huy Dara, Idea at Works (Cambodia)
Ms. Soy Sopheaktra, CEDAC (Cambodia)
Ms. MA. Rodessa R. Buegos, CARD BDSF Inc. (Philippines)
Mr. Andreas  Yunaldi, Mr. Nana Suryana and Ms. Setyowati Rahayu,
    INOTEK (Indonesia)
Ms. Sudarat Rojphongkasem and Ms. Natworarat Khantisit, The Mae Fah
    Luang Foundation (Thailand)
Ms. Bounta Boulom, Ekphatthana Microfinance Institution (Laos)
Dr Mazalan Kamis, Yayasan Inovasi Malaysia

 
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