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専門家コラム:東南アジアへの企業進出における問題点~元日本貿易振興機構(JETRO)バンコクセンターのEPA・投資アドバイザーが語る、企業進出時のトラブル事例

日本国内の消費の縮小、および為替リスク回避のため、製造業が消費地、あるいは中間製造国に転出していく傾向が続いています。それに伴い、部品産業である中小企業もやむなく海外進出に踏み切ります。元々海外生活の経験が少なく、語学もおぼつかない善良なる中小企業がこうむるトラブル事例を何件か、筆者がJETROアドバイザーとして駐在したタイを例にして、ご説明したいと思います。

はじめに ~タイを取り巻く産業情勢について~

ご承知のごとく、タイは古くは1950年代より繊維産業が、1960年代には自動車産業が、1980年代には家電、および電子産業が日本より進出しており、現在は8,000社以上の日系企業が現地で活動を続けています。1980年代のシャム湾での油田発見に続き、その石油・ガスを原料とする石油化学産業により、大きな経済発展をとげ、日本からの ODAによる大型港湾も同時期に完成し、それまでの農業国から、1990年代には東南アジアにおける石油化学製品の一大生産基地となり、また、その工業化の進展とともに国内景気は大幅に高揚し、自動車の国内販売が大幅に伸びました。

一方、1980年頃から始まる日米貿易摩擦により、日本からの輸出が制限された家電業界の打開策として、タイが、主に輸出を目的とする日系家電生産基地になったのもこの時期でした。この頃は、国内販売をもっぱらとする生産(自動車・部品)は内資75%以上、製品の80%以上を輸出する場合(家電・電子)は外資100% も可能との出資規制でした(BOI)。

好調を続けたタイ経済ですが、1997年7月、タイを中心にアジア通貨危機が起こり、景気は急激に減速。1996年の自動車販売60万台弱が、1998年には14万台と、急激に落ち込みます。各社とも、1990年24万台の生産規模を、1996年を目処に70万台の生産能力に上げたとたんの景気の大幅下落で、自動車・部品産業は大パニックとなり、特に75% の資本を持つタイ側の出資者は、それからの赤字の垂れ流しに恐怖感を募らせ、政府に嘆願。この結果、政府は1997年11月のBOI発表により、資本規制を変更、製造に関しては100%外資を認める事となりました。これによりタイ工場の90%以上の株主となった日系自動車メーカー各社(いすゞ、三菱、トヨタ、マツダ)は、その余った生産能力を利用するため、従来日本で主に輸出向けに製造していた1tピックアップ製造をタイに移管し、タイから海外への輸出をすることとしました。これより、通貨危機以前には2万台程度であった輸出が、2000年には20万台となり、2012年には輸出だけで110万台、全生産台数は245万台と、東南アジア最大の自動車生産基地となりました。その9割以上が日系の自動車工場で、また、部品の9割以上が日系部品メーカーの現地工場から供給されています。

繊維でのタイの競争力はGDPの進展とともに、1980年頃をピークになだらかに落ちていきますが、その頃から家電産業が始まり、自動車の好調も加わり、1990年以降現在に至るまで、経済(GDP)は常に右肩上がりの上昇を続けています。

好調を続けてきたタイ産業界の中で、その主流である日本からの進出企業も多大な恩恵を享受し、初期は苦労をされたとは思いますが、主に1990年以降の進出企業はおおむね、大きく右肩上がりで好業績を続けてきています。自身、8年間のタイ駐在で、工場の撤退と言うのは殆ど聞いたことがありませんが、それでもJETROには毎週のごとく、何らかのトラブルのご相談があります。

本コラムでは下記の表題に従い、そのトラブルをご説明し、海外進出を計画される皆さまのご参考に供したいと思います。

筆者の紹介

写真:樫山 映氏

貿易・投資 アドバイザー  樫山 映 氏

1970年3月 大阪大学基礎工学部卒業、三井物産株式会社 入社
化学プラント・インフラ部門を中心に海外に駐在
【駐在先】
Iran, Saudi Arabia, Thailand, Singapore 副支店長、業務本部長、アジア広域統括、Thailand(JETRO)
【担当部門】プラント、自動車、航空機、インフラ事業、業務本部
【担当地域】アジア(含中国、インド)を中心に、中東、米国、ロシア・CIS
【外部役職】ユニコインターナショナル(工業コンサル)役員、同フィリピン社長、エンジニアリング振興協会・外事委員

2003 年~
JETRO Bangkok  投資・EPA Senior Adviser
経済産業省調査団・団長、JETRO調査団・団長(アジア、CLMV、インド)
JETRO 横浜     対日投資アドバイザー、
JETRO 大阪本部    貿易・投資アドバイザー(現職)  

※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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