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株式会社日立システムズ

地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定を考える

第2回 ガイドライン初動版の活用について

前回、地方公共団体でのICT-BCP策定状況が低迷していることについて触れた。その解決策の1つとして提供されているのが「ガイドライン初動版」である。

以下の資料が総務省「災害に強い電子自治体に関する研究会」から公開されている。

  • ICT-BCP初動版導入ガイド
  • ICT部門の業務継続計画<初動版サンプル>
  • ICT部門の業務継続計画<初動版解説書>

今回はガイドライン初動版について紹介する。

既存ガイドラインと初動版の関係

既存ガイドラインは、地方公共団体の実態に合わせて段階的に策定を進めることを期待している。また筆者の評価では完成度の高いガイドラインである。

ただし策定のための体制と一定の技術力が求められ、また策定に時間を要するのも事実である。すべての地方公共団体でICT-BCPを策定するためには、そのハードルを低くすることと、災害発生直後に機能することが求められている。こうした要望に応えるべく公開されたのが「ガイドライン初動版」である。

「ガイドライン初動版」のめざすところは、要員の不足のために策定体制が整いにくい中小の地方公共団体において策定を進めやすくすることにある。「ガイドライン初動版」は「既存ガイドライン」に取って代わるものではなく、それを補完するものと考えるのが適当である。絶対に必要とされる災害発生直後の対策を、今すぐにでも策定できるようにしたものだと考えて欲しい。

初動版の概要と活用におけるポイント

「ガイドライン初動版」は、災害発生直後概ね72時間以内に地方公共団体が対処すべき行動や重要業務への対応について定めるものである。

(1)初動版の概要

サンプルと解説書が提供されており、策定の手順は10段階で示されている。解説書には、手順ごと、目的・アウトプット・サンプルに該当する章、使用する様式集、既存ガイドラインの参照ステップなどについて記述されており、取り組みやすいものとなっている。

(2)BCP策定済みの地方公共団体にも対応を要請

既存ガイドラインに沿って既に策定済みの地方公共団体についても、初動版(72時間以内の対応)の策定を求めており、その作業内容についても明記されている。

特に想定されるリスクに対して、リスクの判断理由、最低限すべき対策、リスクの軽減策、リスク回避策の整理など、その地方公共団体の現状に合わせて採り得る対策を段階的に考えていくことを推奨している。

(3)代替拠点の想定

新しい視点として、現庁舎での復旧と併せて、代替拠点を想定した復旧をめざしている。このことは東日本大震災の被災団体の状況からの教訓であるが、具体的な対応策まで記述しないまでも、いざという時に使用する代替拠点を想定することは大変重要であると考える。

(4)地域防災計画や既存ガイドラインとの関係

初動版では上位に位置づけられる地域防災計画などとの関係も示されている。ICT部門の計画としてだけではなく横の連携が必要ということである。併せてICT部門の役割も、災害対策本部のネットワーク関係のサポートも含めた組織全体のICT環境を念頭に置いたものとなる。このことを煩雑と捉えるICT部門の関係者もいるかもしれないが、むしろICT部門の評価向上につながるものであり、好ましいことと捉えるべきであろう。

一方初動後のICT部門の役割を考えた場合、初動段階の対策だけではなく、その後の対策の検討と業務継続戦略および行動計画の作成(被害を受ける可能性に対する事前対策計画、緊急事対応・復旧計画)が重要である。予備の機器・資材の準備、ICTリソースのバックアップ、クラウドの検討など事前対策を講じ、被災後の復旧を容易にするために、特に事前対策計画、緊急事対応・復旧計画にも力を入れるべきである。この点は既存ガイドラインを参考にされたい。

(5)初動における最重要事項

初動で重要なのは職員(家族も含む)および住民の生命であり、それを守るための仕組みとして安否確認作業が実施可能な形で準備されているかどうかである。安否確認の手段としては携帯電話、メール、災害時緊急連絡網などの準備と、関係者・関係機関の連絡網を常に備えておくことが求められている。この点については必ず実施して欲しい。

(6)日頃の業務と関連付ける

「様式1-1 システムインフラ一覧」、「様式1-2 情報システム一覧」をはじめ現状把握のための調査は、ICT部門にとってはリソースの棚卸しと同じことである。その調査結果は日頃のICT部門における運用管理、業務改善に生かせるものである。

(7)策定を容易にするポイント

ICT-BCPは各地方公共団体の実態や置かれている環境を考慮して策定するものであり、サンプルどおりにはならない。しかしサンプルをベースに策定することで短期間に容易に策定することも可能となる。

実際に地方公共団体の策定支援にかかわった者の印象としては、既存ガイドラインに沿った策定よりも取り組みやすさが感じられた。

次回は、研究会成果物のもう1つの目玉である「訓練事例集」を紹介しつつ、ICT-BCP訓練の重要性について考察する。

[新免 國夫 記]

2013年7月掲載

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