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株式会社日立システムズ

ネット対談 最新Webマーケティングを探る【日立情報システムズの2008Webマーケティング】

【2008年6月30日】

対談者:株式会社Nexal 代表取締役社長 上島千鶴ネットで企業の売り上げを増やす!- アクセス解析から見たWebマーケティング -Vol.2インタビュアー:マーケティングコンサルタント 波多野精紀

前回の前編に引き続き、今回後編では、Webマーケティングの成功要因はどこにあったのか、サイト活用と従来営業との関係はどのようになっているのか、今後のWebマーケティング実施に向けてのポイントは何か、をお送りします。

上島 千鶴(かみじま ちづる)

株式会社 Nexal 代表取締役社長

1996年、東京電機大学経営工学科卒業。東証一部上場のITサービス企業にて新規事業立ち上げや、米国企業の技術を日本の事業展開に組み込む事業企画に専念。2004年、米国・アクセス解析ツールベンダーにて日本営業統括ディレクターを務め、2年弱で100件近くの導入実績を達成する。2007年、株式会社Nexalを設立。ビジネスプロセスの視点から、ネット×リアルモデルを最大限発揮するためのサイト戦略、サイトKPI構築、サイト効果検証の専門コンサルティングを提供中。

ページビュー数で人事考課がされている!?

写真:上島 千鶴氏
上島 千鶴氏

【波多野】上島社長が執筆された本の中に「サイトKPI」という言葉が出てくるのですが、これは具体的にどのような意味でしょうか。ちょっと、お教え願えますでしょうか。

【上島】そのまま訳せば“解析指標”ですが、端的にいえば“Webサイトを質で評価するための指標”のことです。多くの企業でページビュー数の増減に一喜一憂している担当者がおられますが、私がよくアドバイスさせて頂くのは「ページビュー数や訪問者数などの“量の指標”だけで判断しないで下さい」ということです。Webサイトにはそれぞれ目的がありますが、目的が異なれば当然善し悪しを判断するための指標も異なります。杓子定規にページビュー数だけを見ていたのでは、目的に対する効果を正確に測定することはできません。私が一番驚いたケースでは、ページビュー数がWeb担当者の人事考課における評価項目になっていた企業があったことです。

図1
図1:Nexal、サイト評価指標(KPI)設定サービス(提供:上島氏)
  図2
図2:Nexal、アクセス解析の分析視点と、期待される効果(改善策)(提供:上島氏)

【上島】他に判断できる材料がないと、皆さんページビュー数による評価になるようですね。彼らにとってはページビュー数が評価になりますから、例え売上増に繋がる施策があったとしても、ページビュー数アップに効果がないと敬遠するようです(給料が下がってしまいますので・・・)。3年前、これを聞いた時に「それは違いますよ」と思いました。そもそもWebサイトは企業それぞれで目的や役割が異なるのですから、目標をどれくらい達成したかでそのWebチームを評価された方が良いですね。しかし、実際には実績を評価するのにどうしていいのかわからないので、社内ではページビュー数でしか評価・判断してもらえないという会社がありました。

例えば、営業部門ですと受注率や案件獲得率など、コールセンターですと応答率や対応時間など細かいKPIは沢山ありますが、Webサイトの世界で見ると実はKPIを設定されている企業はほとんどありませんでした。

【波多野】今までの経験からすると、どんなKPIでも習熟していないと、それ以前の問題が多すぎて、それどころではないということもありますね。あまりそこまで考える企業は少ないのでは。

【上島】そうでもないですね。最近ではWebにかかるコストが増加傾向にあるせいか、費用対効果を真剣に考える企業が増えています。Webサイトを運用するにはサーバなどのハードウェアに関する費用からWebサイトを追加・更新するための運用費、またCMSツールなどを利用する場合にはその導入費など様々なコストがかかります。ECサイトの場合は売上げが発生するため、1ページ当りのコスト単価はROIで簡単に計算できるのですが、これが一般の企業サイトの場合は1ページを売上げや問い合わせなどで紐付けると莫大なコストになります。

そのため、Webサイトをリニューアルする場合にどういう考え方で評価すればいいのか、どういう指標で見ていけばいいのかということに着目される企業は増えてきています。実際、弊社にもそのようなお問い合わせが増えています。Web制作会社にお願いすれば、様々なコンセプトや見た目に映える“煌びやかなもの”を提案してくれるのですが、発注する企業側には「それでいいのか」「それで目的を達成できるのか」「課題を解決できるのか」ということを考えて欲しいと思います。

評価指標を決めておかないと、無駄なお金を使ってしまうことも

【波多野】そうですね。きれいなサイトをつくれば、みんな見てくれる。まだ、そんな考えの人が多いのでしょうか。そこに何らかの評価をする指標が必要ですね。

【上島】はい。そもそもWebサイトはどのような目的でつくられているかによって評価指標は違ってきます。ブランドサイトなのか、販売チャネルなのか、あるいは販促目的なのかということを予め明確に設定しておくべきです。更に言えばその目的を全社で共有することも必要です。社内の担当者にお話を聞くと様々なアイディアはでますが、つきつめていくと部門によってWebに対して期待する役割などが違っていることがあります。例えば、営業部門であればWebに販促の役割を期待し、広報部門であればブランド構築の役割を期待することが多いようです。このように“Webの役割”に関する認識が共有できていなければ、本来つくりたいサイト構築ができないということになりますし、ひどい場合では社内の部門同士が足を引っ張りあう結果になることもあります。悪い事例として、検索サイトのキーワードを社内の異なるセクション同士が取り合うということもありました。

役割や目標を設定してそれを共有した後は、実行した施策に対する効果を検証する必要があります。例えば販促広告の効果に関して、ネット広告の会社が出しているレポートは、CPC(Cost Per Click:1クリックあたりのコスト)やCPA(Cost Per Action:成果報酬型広告などの単価指標)などのクリック単価が明記されていますが、これで満足してはいけません。いかに集客に成功しても来訪者がすぐに逃げてしまう(直帰)ようでは、目的を達成しているとは言えません。効果測定がおざなりで無駄なお金をネット広告に費やしている企業もまだまだ少なくないというのが現実です。

【波多野】自社のサイトをどのような指標で評価すればいいのか。そこのサイトKPIといわれる評価指標を決めておかないと、無駄なお金を使ってしまうということですね。

【上島】その通りです。実際、広告の貢献率が低いにも関わらず莫大な広告費を費やす企業も少なからずあります。またある企業では年間数千万のネット広告を出しているにも関わらず、目的ページがないのでCPAを算出していない、つまり効果検証を行っていないという事例もあります。広告代理店のほうへ目を向けても、広告の効果測定とアクセス解析を合わせたレポートを出しているネット広告会社はほとんどありません。もちろん、自分たちの首を絞めてしまうからでしょう(笑)

経営者の勘違いが現場を混乱させる

写真:波多野 精紀氏
波多野 精紀氏

【波多野】大手企業においては年間の広告枠が決まれば、毎月きっちりと広告費があるので、広告の効果測定とアクセス解析とを見比べて出稿の最適化は必要だと思うのですが、あまりやられていないようですね。とくに、ECサイトでは毎日のようにチェックしても、一般企業においてはチェック機能が甘い感じですね。

【上島】実は広告の費用対効果以外にも、Web担当者の方だけではなく経営者層の方もよく勘違いされていることがあります。例えば検索サイトにおける検索結果についてですが、自社のトップページが出てこないことが気に入らないという方もおられます。大手企業のサイトはトップページに行くことが少なく、ランディングとしてもトップページ到着率はだいたい40%ぐらいで、第二階層や第三階層の各ページに行くことが多いというのが一般的です。

また、トップページにすべての商品が掲載されていることに固執する経営者の方もおり、スクロールが長いトップページをつくられる企業もありましたが、経営者が替わるとそのような方針も変わるようです。このように何の根拠もなく経営者の鶴の一言で現場が翻弄されているケースもあります。

【波多野】そうですか。検索サイトからトップページへの到達率が高いサイトは、あまりコンテンツが豊富でないサイトもありますから、一概には良いとはいえませんね。ある目的に沿った指標で評価し、その結果からそういったこだわりを持ってほしいですね。ちなみに、CMSを使って、トップページに更新情報が多いと、トップページへの到達率は高くなります。

こんなところを改善すれば、サイトでの実績が上がる!

【波多野】話は変わりますが、上島社長が今までコンサルティングをやってこられて、これだけは改善してほしいという点はありますか。この対談内容を見て頂いた方が、今日から、あるいは明日からでも改善すれば効果がある、というテクニックのようなものですが。

【上島】初歩的なところですと、キーワード検索によって検索サイトから来訪するユーザの入口ページを最適化するというテクニックがあります。キーワード毎に“入り口となるページ”は深い階層のページであることが多く、ナビゲーションやリンクが不十分で来訪者にとっては非常にわかりにくいものです。それが来訪者の直帰に繋がってしまうことが多いのですが、そのページをわかりやすく、又サイト内に遷移しやすくすることで回遊に繋がる効果があります。非常に単純で基本的なことですが、誘導率といって来訪者を逃がさずに回遊に繋げる有効な施策といえます。

【波多野】そういうページって、よくありますね。ネット広告を見てジャンプしたものの、何のコンテンツかわからないページ。リスティング広告で費用を出している割には、キーワードの選択はするものの、ランディングページが追い付かない状況がまだまだあります。手をかける余力がないというか、それでもネット広告には費用を出す。よくわからないですね。B to C、あるいはECサイト向けのお勧めの改善点はありますか。

【上島】ECサイトにおける改善点であれば、ショッピングカートに注目してみるとよいでしょう。ポイントとしてはカゴに商品を入れてから購入に至るまでの動線分析をしっかりやることです。例えばカートに商品を入れた人が100人いて、そのうち買ってくれた人が10人しかいなかったとします。購入する意志があってカートに商品を入れたユーザが100人いるにも関わらず、実際に購入に至ったのはそのうちの10人だけということですから、ユーザビリティなどの何らかの問題がある可能性があります。これはリアルのスーパーやコンビニなどに置き換えると考えられないことです。100人がカゴを持って商品を入れているのに、そのうちの90人は買わずに帰ってしまうわけですから。

これは動線の結果だけではわかりづらいことが多く、実際のHTMLページと動線の結果を関連づけることで、はじめて入力フォームの記入量が多いとか決済機能がわかりづらいなどの課題が見えてきます。まずどこで離脱が多いのかを調べてみるとよいでしょう。多くのECサイトの場合、買おうと思って買わないのは、会員登録と決済方法(前払いなど)がネックとなっているケースが見受けられます。

【波多野】アクセス解析をすると、さまざまなことがわかってきますね。そうしたネックを見つけて、素早く改善することが重要ですが、たとえばECサイトのパッケージソフトを使っていて、わかっていても改善できないこともありますね。実はかなり重要な箇所で、先ほどの会員登録と決済方法においては、実績に大きく影響するということですね。これは重要なポイントだということがわかりました。

【波多野】最後に、このネット対談をお読みになっておられる方に、お伝えしたいことはありますか。

【上島】はい。世の中のWebサイトがすべてECサイトのように、Webの中だけで売上のプロセスが完結するわけではないですので、リアルマーケットで売上を上げている企業がWebサイトの役割/目的や評価などについて悩むケースが多いと思われます。リアルの売上をアップさせるにはWeb上でどのような施策を実行すればよいのかということを、Webだけで考えずに現在のリアルマーケットで行っているアクションと連動させることが必要だと思います。ネットとリアルをクロスで考えるということが大前提ですね。

【波多野】なるほど、上島社長のおっしゃるとおりですね。今日はアクセス解析のコンサルティングのご専門に活躍されている上島社長に、アクセス解析からみたさまざまなWebマーケティングについてお話を聞くことができました。この対談の内容を見た方はきっと多くのヒントを得ると思います。お忙しいところ、ありがとうございました。

【上島】こちらこそ、ありがとうございました。

写真:対談後に上島氏(右)と波多野氏(左)
対談後に上島氏(右)と波多野氏(左)

対談を終えて…

今日は、アクセス解析を専門に、日頃企業のコンサルティングをされている株式会社Nexal 代表取締役社長 上島千鶴氏に貴重な話を聞くことができました。企業のサイトリニューアルや新たなサイト構築を単に構築しただけでは満足せず、その後のアクセス解析がいかに重要か、あるいはそのサイトを評価するには適正な指標を持って、日々チェックする重要性が認識できたのではないかと思います。自社サイトの“サイトKPI”を是非検討してはいかがであろうか。

今回の対談でご協力いただきました上島氏の株式会社 Nexal のWebサイトはこちら

波多野 精紀(はたの きよとし)

マーケティングコンサルタント

株式会社市場通信代表取締役社長。金沢工業大学大学院客員教授。1951年、愛知県生まれ。1977年、日本大学大学院修士課程修了後、コンサルタント会社に入社。その後、マーケィング会社を経て、1994年、現・電通ワンダーマンへ部長職として入社。2002年、同社専務取締役。2003年マーケティング・コミュニケーションのコンサルティング会社を設立。主著に『ネット口コミマーケティング』、『Web2.0 実践ネットマーケティング』、『図解 数字が上がるコールセンターのつくり方』などがある。

Web マーケティングソリューション 「Homepage Dr.」

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