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株式会社日立システムズ

ネット対談 最新Webマーケティングを探る【日立情報システムズの2008Webマーケティング】

【2008年6月16日】

対談者:株式会社Nexal 代表取締役社長 上島千鶴ネットで企業の売り上げを増やす!- アクセス解析から見たWebマーケティング -Vol.1インタビュアー:マーケティングコンサルタント 波多野精紀

マーケティングコンサルタントの波多野氏が3回に渡り、Webマーケティングをテーマにネット対談を行います。
今回は、企業のサイト運用において、必要不可欠といわれているアクセス解析ツール、アクセス解析から見たWebマーケティングについて、対談をさせて頂きます。ゲストは長年ビジネスプロセスやサイト戦略、サイトの効果検証を専門にコンサルティングを展開中の株式会社Nexal 代表取締役社長 上島千鶴(かみじま ちづる)氏です。現在、企業のサイト運用でアクセス解析がいかに使われているか、あるいはどのようにサイトの効果検証をすれば売上に結びつくか、アクセス解析を活用したWebマーケティングを探ります。自社サイト運用で、アクセス解析ツールを導入された企業のご担当者やこれからツールを使うことをお考えの方には必見の内容です。【前編と後編の2回連載】

上島 千鶴(かみじま ちづる)

株株式会社 Nexal 代表取締役社長

1996年、東京電機大学経営工学科卒業。東証一部上場のITサービス企業にて新規事業立ち上げや、米国企業の技術を日本の事業展開に組み込む事業企画に専念。2004年、米国・アクセス解析ツールベンダーにて日本営業統括ディレクターを務め、2年弱で100件近くの導入実績を達成する。2007年、株式会社Nexalを設立。ビジネスプロセスの視点から、ネット×リアルモデルを最大限発揮するためのサイト戦略、サイトKPI構築、サイト効果検証の専門コンサルティングを提供中。

アクセスログ解析の活用は4つのステップが必要!

【波多野】アクセスログというのは、Webサイトに訪問したネット利用者のサイト閲覧状況を知るためには、重要なものです。しかし、企業のサイト数は多くなっているにもかかわらず、実際にアクセスログ解析ツールを利用している企業は少ないのが現状だと思います。解析ツールを活用している企業がかなり多くなってきたとはいえ、ツールを組み込んだだけで、解析結果を頻繁にチェックしている企業はあまり多くないという印象です。毎月1回、上司への報告だけでいいのでしょうか。

まだまだ、アクセスログ解析ツールを駆使していないような気がしますね。もともと日本の企業は“分析モノ”は苦手で、これに限らず、アンケートとか、リサーチなどの分析結果を見て、今後どのようにするのか、という発想やアイディアに発展させるのが、欧米に比べてうまくないような気もします。少し “分析ベタ”という感じも受けます。上島社長は、さまざまな企業と接してこられて、その点はどのように感じていますか。

【上島】日本の企業は一般的に“データ分析”に対する予算がとれないケースが多いですね。米国企業の場合ですと分析データに基づいて経営判断する流れが当たり前のように定着しています。ところが日本企業の場合はアクセス解析に限らず、ツールを打ち出の小槌のように考えていて、データを放り込めば自動的に欲しい結果が出てくるものと過大な期待をしている方が多いと思われます。

「データを入れると何か答えが出るのではないか」と。それを“分析”だと勘違いされている方が多いようです。確かにツールは様々な情報を返してくれますが、分析の前にどういうデータが欲しいのかをある程度設計しておかないと、結局何も判断できない結果になってしまいます。このように日本の企業においては、「分析は何のためにするのか」「分析結果を何に利用するのか」という分析の前段階が弱いのではないかと思います。

【波多野】そうしますと、アクセスログ解析は、サイトの裏側でどのようにネット利用者がネットを閲覧しているかということで、他の分析と比べて、まさに目に見えない状況ですので、企業の方に理解してもらうのは、もっと難しいことではないですか。

【上島】確かに初めてアクセス解析を行う方にとっては難易度が高いでしょう。私がそういった方によくアドバイスさせて頂くのは、ログ解析のプロセスについてです。アクセスログ解析は「分析結果を何に使うか」という目標設定から始まり、大きく4つのプロセスがあります。一番初めのステップは現状を把握するという段階です。これはサイトにどれくらいの訪問者があるのか、どれくらい見られているのかといったWebサイトの実態を数字で押さえることです。このようなステップ1の現状分析まではどの企業でも実施されています。ただ、現状分析を行っている企業が多いとはいえ、その分析結果を業務に活かせているところは少数です。

ログ解析の結果を活用できていない企業の多くは、Webサイトの役割や目的がないかまたは不明確です。やはりゴールが定まっていないと、どんなにデータを眺めてもなにも答えを見つけ出すことはできません。多くの企業がステップ1以降に進めていないというのが現状ですが、分析結果を活かすためにはステップ2以降が重要になります。

【波多野】なるほど、そうですね。今、解析には4つのステップがあるといわれましたが、現状分析の次は?

【上島】ステップ2は効果測定です。効果とはプロモーションやマーケティングなどの施策に対しての効果であり、それが実際の売上にどのくらい貢献しているかを定量評価するための効果測定です。ステップ3は効果測定の結果を次のマーケティングへ活用するフェーズです。これは分析結果をもとにターゲティングの見直しやプロモーション手段の選定などを行います。最後のステップ4はレコメンドで、いかに個々のユーザに合わせた情報を見せるかということです。とくにB to CのWebサイトにおいては、ステップ4が重要になってきます。

レコメンドもオートメーション化する!?

写真:株式会社 Nexal 代表取締役社長 上島 千鶴氏
上島 千鶴氏

【波多野】一般の企業ですと、3つめのマーケティング活用は少々難しいような気がします。プランニングの中での発想や、具体的に活用できるアイディアが必要ですね。

【上島】そうですね。難しいという点ではタイムラグという問題もあります。アクセス解析は“蓄積した過去のアクセス履歴を分析する”という性質上、どうしてもモニタリングと分析の間にタイムラグが生じてしまいます。例えば、先月1ヶ月分の期間においてお客様がどのような動きをしたかを分析するケースでは1ヶ月のタイムラグが生じます。
進んでいる企業ですと、【溜まったデータがある】→【そのデータを分析する】→【その後検討する】→【次のアクションにつなげる】というPDCAのサイクルを構築されていますが、

※PDCA:Plan(計画)・Do(実施・実行)・Check(点検・評価)・Act(処置・改善)

高度な事例では分析とアクションまでのすべて自動化しようする動きがB to Cで始まっています。解析する時のタイムラグがあるので、どういうお客様が来たらどういうコンテンツを見せるのか、アクセス解析のデータとレコメンドをつなげてアクションまでを全部自動化し、あるいは最適化を図るというのが現在最先端のアクセスデータの使われ方です。

【波多野】 いわゆる、マーケティング・オートメーションですね。いろいろいわれてはいるのですが、今いわれたオートメーション化というのは、何を意味しているのでしょうか。ネット広告におけるバナーやテキストですか。

【上島】いいえ。ネット広告とは異なります。ここでのオートメーション化とは、お客様の行動をパターン化しておいてその行動に当てはまるネット利用者が来訪した時に、その人独自にランディングページをガラッと変えてレコメンドしてしまうようなものです。過去にどのようなキーワードで流入してきたかといった事や来訪時間や購入したものなどのデータをあらかじめ整理しておき、そのパターンに応じてレコメンドするものです。

【波多野】そのレコメンドですが、例えばB to Cであれば、大手外資系のネットショップなどでは、たまたまクリックして見てしまった商品がレコメンドされ、既に購入した商品もレコメンドされていますよね。それが本当にベストなのか、もっとすごいものがあるのかどうか。

【上島】昔からあるレコメンドツールは基本的に購買データをもとにレコメンドする情報を判断しています。例えば、この商品を買った人はこれも買っていますといったケースです。今回ご説明したレコメンドはそこから一歩進んで、お客様の行動パターンからランディングページをレコメンドするものです。

【波多野】なるほど、個々のレコメンドではなく、アクセスデータを解析し、それらを行動によってパターン化し、パターン別にコンテンツ転換を自動的にしていくわけですね。B to Cなどはよくわかるのですが、B to Bについてはどうですか。

【上島】B to Bの場合はレコメンドまで実施されているケースはほとんどなく、先ほどの4つのステップでお話しするとステップ3までだと思います。特にB to Bの場合はリアルの営業がお客様にご提案して販売していくというケースが非常に多いことから、B to Cと比較してレコメンドの必要性は低いでしょう。B to Bでは特にWebサイトだけでビジネスが完結することはほとんどないため、Webを一つのチャネルとして考えることが必要です。またWebとリアル営業の関係など、ビジネススキームにおけるWebサイトの役割や位置づけなどを明確にすることが重要です。その場合のアクセス解析はステップ2の効果測定までが多いですね。

【波多野】きっと、B to Bサイトにおいても、ネット営業が多くなってきたので、ネット利用者の動きによって、コンテンツを見せていくようなオートメーション化も出てくると思います。

アクセス解析ツールは数値の正確さからすると、タグ方式が良い!?

写真:波多野 精紀氏
波多野 精紀氏

【波多野】次にお聞きしたいのは、アクセス解析ツールの選び方です。今や市場にはさまざまなアクセス解析ツールが出ていますが、企業の担当者においては、どのツールを選んだらいいのか、自社に最適なツールは何か、きっと迷われていると思うのですが、どのようにアクセス解析ツールを選べばいいのでしょうか。

【上島】まずアクセス解析ツールを何に使われるのかを明確にするべきです。単に現状を把握したいだけだとすれば、予算をかけずに実施できるGoogle Analytics(グーグルアナリティクス)のようなフリーツールで十分です。現在はどのメーカのツールも機能面では大きな違いはなくなってきましたので、特に凝った分析が必要ではなく基本的な解析結果が見られればよい場合は、どのツールを選んでも失敗することはないでしょう。ただ、ホスティングをしているなどの制約に関しては注意が必要です。ログ方式のツールが使用できないといった場合には、ASPサービスのタグ方式などがあります。次のポイントとしては担当者のアクセス解析のスキルレベルが選ぶポイントではないでしょうか。

【波多野】企業のページビュー(PV)数を聞くと、すごい数字が出てくるのですが、それらはサーバにアクセスした全数であって、実際にサイトの各ページを閲覧した数値とは異なるものがありますね。巡回する検索サイトなどのクローラのアクセス回数を含めると、実際の10倍になることもあります。その数字がネット利用者のアクセス量として捉えている企業もあると思うのですが、どうでしょうか。

【上島】はい、よくありますね。解析ツールを大きく分類すると、データの取得方法の違いから(1)タグ方式、(2)ログ方式、(3)パケット方式の3種類にわけられます。(2)ログ方式と(3)パケット方式はサーバ型といわれており、サーバにアクセスがあった全ての履歴がアクセス解析の対象になります。これにはユーザからのアクセスだけでなく、ロボットやスパイダーといったクローラからのアクセスも含まれます。一方(1)タグ方式についてはブラウザからのアクセスだけが集計されるため、理論上は人間からのアクセス履歴だけを対象にアクセス解析を行うことが可能です。ただし、(2)ログ方式や(3)パケット方式でもクローラを解析対象から除外することは可能ですが、その精度や解析の対象にするかどうかはアクセス解析ツール製品によって異なります。そのためツールを使う担当者のスキルと解析の精度が問題となります。

【波多野】製品によって、解析の精度って違いがあると思いますよ。例えば、よく解析結果でノーリファラー(no-referer)というのがあって、アドレスを直接入力したか、あるいはブラウザのお気に入り登録者だという説明を受けますが、解析ツールによっては、あまりにも多すぎるものがありますね。すべてそうした数字ではないと、少し疑いたくなりますね。実際には製品によって、各種の数値が異なりますよね。製品の異なる数値を比べることができないし、かなりの違いが出てくることもあるのですが、あれはどのように考えればいいのでしょうか。

【上島】アクセス解析ツールによって結果の数値に違いがでるという現象の要因は、米国でも同様ですが統一された規定がないからです。例えば、“再訪問者”というのはいつからの再訪問者なのか。これも製品によって仕様が異なります。1ヵ月以内のリピートなのか、3ヶ月以内のリピートなのか、タグを導入してからのリピートなのか、これらによって解析結果の数字が変わってきます。

そのため、製品ごとにどのようなアルゴリズムでカウントしているのかによってページビュー数にも違いが生じてきます。このように“ツールによって定義が異なる”という前提条件を理解していないと企業の担当者は混乱するでしょう。担当者が戸惑う一番多い事例は、アクセス解析ツールをログ方式からタグ方式に替えたとたんにペ-ジビュー数に大きな変化が現れるというケースです。ページビュー数がかなり異なるので、“どうして?”と戸惑うことになります。これは私もよく質問されますが、ツールによってそもそも数字をとる前提が異なるのです。

ページビュー数のカウントについても、どの拡張子を解析対象としてするか、どれを除外するのか。フラッシュ( .swf)とか、ジフ(.gif)とか細かい拡張子もヒット数に入れるのか入れないのかといった細かい前提条件を合わせていかないと、数字は同じようになりません。

【波多野】ただ、企業によっては、ページビュー数を多く公表したいので、あえて数字の多くなるログ方式を使う企業もあります。このようにお話を聞くと、より正しい数値を把握するには、タグ方式のアクセス解析ツールの方が良いことがわかりました。

上島氏と池上氏の共著
上島氏と池上氏の共著

次回は下記のような内容です。お楽しみに!

  • ページビュー数で人事考課がされている!?
  • 評価指標を決めておかないと、無駄なお金を使ってしまうことも
  • 経営者の勘違いが現場を混乱させる
  • こんなところを改善すれば、サイトでの実績が上がる!

次回につづく…

今回の対談でご協力いただきました上島氏の株式会社 Nexal のWebサイトはこちら

波多野 精紀(はたの きよとし)

マーケティングコンサルタント

株式会社市場通信代表取締役社長。金沢工業大学大学院客員教授。1951年、愛知県生まれ。1977年、日本大学大学院修士課程修了後、コンサルタント会社に入社。その後、マーケィング会社を経て、1994年、現・電通ワンダーマンへ部長職として入社。2002年、同社専務取締役。2003年マーケティング・コミュニケーションのコンサルティング会社を設立。主著に『ネット口コミマーケティング』、『Web2.0 実践ネットマーケティング』、『図解 数字が上がるコールセンターのつくり方』などがある。

販売管理・生産管理業務システム TENSUITE(テンスイート)

Webマーケティングを支援するアクセス解析診断サービス

 
 
 
 
 
 
 
 
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