
第1章 BtoBサイトにおける、お客さまの閲覧スタイルの変化
2012年2月21日掲載
IT企業を例にとると、IaaS、BPO、SaaS、PaaS、EDI、ERP、CRM、AMO、EAI、BI (最下行に説明)などアルファベットの組み合わせや羅列が多く、私たちのようなIT関係者でも分かりにくい。これが化学業界だと、HSG、CMP、STI、PIQ、LOC…(説明を割愛)となり、私たちには全く分からない。要は、Webサイト側で原稿を作成した担当者にとっては日常的に使われている単語が、初めて訪れた別の業界の方々にとっては未知の単語となる。したがって通じない。BtoCでは大前提が「どなたにでも!」なので、平易な表現、やさしい言葉遣いで満たされているが、BtoBの場合はWebサイトを訪れるお客さまに自分と同じレベルの知識を期待してしまう。

突然の3文字英語では分からない
ここで言えることは、誰に対して情報を提供しているかだ。主としてBtoBマーケティングに熱心なのはIT関連企業が多いため、それを例にとると、「従来のIT管理者向け」「経営者向け」「担当者向け」などが主としたターゲットユーザーと思われる。これまで「IT管理者向け」にエンジニアリングを中心としたアピールで、「IT管理者」からお問い合わせや資料請求をいただき、営業やSEがITを管理されているお客さまを訪問し、ITの説明をする。きわめて直線的な流れで、そのあと引合いや見積依頼をいただき、受注する。
ところが最近その流れは変わってきているのではないかと思う。つまりIT関連企業ではない経営者や担当者が、Webサイトを訪問する機会が増えているのではないかということだ。そうなると、私たちが化学品の専門用語が分からないように、従来のページではWebサイトを訪れるお客さまに理解していただけない。
その背景は、クラウドコンピューティングの普及だ。しかも大震災を契機として、さらにそのトレンドは加速している。つまり、企業はオフィス内にサーバールームを置かず、クラウドに切り替え、結果としてIT管理者に頼っていたシーンは、経営者や担当者が直接見ることになる。慎重に言葉を選択し、多くの短縮語やアルファベットの組み合わせには注釈をつけ、必要なら用語集をきちんと準備し、ITリテラシーの低いお客さまの目線を理解したページ作りが、今求められている。
「タカの目線からミミズの目線へ」という言葉を聞いたことがあるが、これは森の食物連鎖(頂点がタカで最下層がミミズ)を例にとった営業姿勢の変化を示している。「受注したい!」「お客さまが欲しい!」その一心でタカのような狩猟のスタイルをとってしまいがちだが、昨今はむしろ、お客さまを地中から観察し、目線を同じにして、お客さまと対話する姿勢が大切だ。もっと言うなら、このソーシャルネットワークの時代では、お客さまのひそひそ話にすら耳を傾ける姿勢が必要だろう。

目線の変化をきちんとつかもう!
お客さまが商品やサービスをお探しになる場合、判断の一歩手前として、担当者は「導入したシステムがいかに自分たちの作業を楽にしてくれて、いかに使いやすく、見やすく、分かりやすいか」といった部分を判断基準として設定する。一方、経営者は「作業の合理化、効率化、導入コストの回収、全社的に導入システムが与えるインパクト」など、ふかんして見る傾向にある。その双方を満たしているのが理想的だが、実現できているWebサイトは少ない。したがって、担当者が導入したいと思うシステムの説明には、並行して、社長など上位の経営陣にアピールできる「作業の合理化、効率化、導入コストの回収、全社的に導入システムが与えるインパクト」などを配置し、説得材料をページ内に準備しておくことが、結果としてリード(お問い合わせや資料請求)獲得につながる。
過去に、あるWebサイトで入り口を経営者用と担当者用の二つに分けたことがある。その時にはLPO(お客さまの到達するページの最適化)に主眼を置き、単に2種類のターゲットユーザーがあると認識していた。しかし、最近アクセス解析の結果や市場動向、各種情報から推測すると以下の傾向があると思われるので、そのポイントをまとめてみた。
定型は無いが、ご覧いただきたいお客さまの層に合わせて、表現の順序や力の入れ具合を調整すると、より高い結果が得られると思うので、ぜひ試していただきたい。どうしてもテンプレート化されていると、ただそこに必要情報を埋めるだけになりがちだが、ちょっとした構成の工夫やキャッチのひねり方で、結果は変わる。

見せ方は工夫の連続
最近ザッポスという靴を中心としたアパレル系のネット通販会社が、全米で脚光を浴びている。たった10年で1000億円企業に成長した原動力は、ユーザーエクスペリエンスの提供にあると言われている。この会社では、「ザッポスは、たまたま販売業を営んでいるに過ぎない『サービス・カンパニー』である」とトニー・シェイ社長はじめ全社員が口をそろえて明言しているそうだ。ザッポスの言うサービスとは「おもてなし」であり、この「おもてなし」の姿勢こそが、共感や感動を生むのである。
BtoBビジネスの世界で、担当者が気に入って導入したい商品があり、それをどうしても社長や経営陣に導入したいと訴える。その時に、単純な比較表で○×をつけて、導入コストを示して判断を仰ぐといったスタイルは、今後少なくなるのではないだろうか。私たちがいるIT業界では、特にクラウドでネットワークを通じてサービスを提供しようとしているし、ちまたの多くの商品群がインターネットを通じて情報提供し、売買されている。この流れはBtoBも同じで、比較表を否定することではないが、Webサイトのトップページから商品を選び、特集コラムなどで知識を深め、導入商品に関連した多くの情報を提供し、少しの疑問でもあるならFAQで丁寧に答える。
このエクスペリエンス、すなわち担当者がWebサイト内でたどり、共感し、導入したいと思ったページを経営者(導入決定者)と共有できれば、自然と担当者が思う方向に結論は進むと思う。説得という視点から、共感、出来るなら感動まで導けると、そのWebサイトの完成度は高いと思うし、是非私たちも実現したい。

共感し、感動まで導くWebサイトがサービスの選択を決定づける
今回で、「第1章 BtoBサイトにおける、お客さまの閲覧スタイルの変化」は、無事最終回を迎える。次回からは、「第2章 BtoBサイトが勝ち残るための未来の要素」ということで、将来の起きるであろう変化を予測し、多角的な視点でBtoBマーケティングサイトの構築ポイントを探っていく。
<文頭の短縮語>
IaaS:Infrastructure as a Service
BPO:Business Process Outsourcing
SaaS:Software as a Service
PaaS:Platform as a Service
EDI:Electronic Data Interchange
ERP:Enterprise Resource Planning
CRM:Customer Relationship Management
AMO:Application Management Outsourcing
EAI:Enterprise Application Integration
BI:Business Intelligence
BCP:Business Continuity Plan
第1章 BtoBサイトにおける、お客さまの閲覧スタイルの変化
第2章 BtoBサイトが勝ち残るための未来の要素
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