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「確実に、翌日商品を手元に」というお客さまの信頼があるので、生産ラインは止められない。

2013年4月、「TENSUITE(旧HICORE-Products)」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に 統合しました。 ※本事例に記載の商品情報は初掲載時のものです。

  • 業種塗料製造業
  • 特長受注生産、短納期

山一化学工業株式会社様(以下、山一化学工業様)の那須工場には、化学系プラントらしく大きなタンクとそれを繋ぐパイプが整然と並んでいます。今回は、生産本部 那須工場長 山東勝則 氏(写真中央)、那須工場次長 斎藤正美 氏(写真右)、製造課課長 黒崎克己 氏(写真左)に、経営層とは異なる現場の視点で、生産管理システム入れ替えの背景や選定のポイントについて伺いました。

(お客さま概要)

山一化学工業 那須工場 様について

― 工場長の山東さんにお聞きします。那須工場の業務内容を教えて下さい。

那須工場外観

(山東氏)混合溶剤のOEM受託が主体で、自社製品ブランドも扱っています。
製品在庫は持たずに、リピート品では「当日受注・当日発送」を強みとして、スピーディーな生産工程を実現しています。
製品の特性をご説明すると、混合溶剤は複数の溶剤をお客さまのご要望に合わせて製品化しています。全く同じものというのは少なく、同じ用途でもその配合を少しずつ変えているため、製品点数は何千種類にもおよびます。

基本情報

お客さま名 山一化学工業株式会社
事業内容
  • 塗料製品および溶剤類の製造ならびに販売
  • 化学工業薬品・試薬の製造ならびに販売
  • 食品添加物・食品原料及び醸造用薬品の製造ならびに販売
  • プラスチック・ゴム加工用機器および洗浄剤・防錆剤・潤滑剤・離型剤等の副資材の製造ならびに販売
  • 外壁等塗装剥離剤の製造ならびに販売
  • 特別管理産業廃棄物の収集・運搬
従業員数 本社33名、工場79名(平成24年11月28日現在)

(導入の背景)

「当日受注・当日発送を確実に任せられる企業」

当日受注・当日発送 -小ロット受注・生産・出荷-

― 「当日受注・当日発送」が求められている背景を教えて下さい。

溶剤を充填

(山東氏)最近の受注傾向が背景にあります。
1つ目に、「小ロット受注の増加」が挙げられ、どんどんロットが小さくなってきています。
2つ目は、「物流については問屋を通さず、エンドユーザに直送するケースの増加」です。従来は、配送センターや倉庫に一度納品することが主流で、エンドユーザへ直接配送することはありませんでした。

― なぜ、そのように受注傾向が変化したのでしょうか。

製造棟前には缶がズラリ

(山東氏)実は工事現場や生産現場には、ある課題が存在していました。
具体的に言うと、「在庫は持ちたくない。しかし、作業の際に溶剤が届いていないと仕事が進まない。」という課題です。
そのような背景の中、「小ロットで必要な時に必ず届けてもらえるなら、余分な備えも要らなくなる。在庫を置く無駄なスペースを用意する必要がなくなる。」という要望が増えてきました。
このことが、受注傾向が変化した要因だと考えられます。
当社への受注が小ロット化しているのは、それだけ信用していただいてのことでしょう。

― 「当日受注・当日発送を確実に任せられる企業」ということで、他社と差別化を図っているわけですね。

工場内風景

(山東氏)そうですね。混合溶剤を専業としている当社の強みです。
塗料メーカーさんでは、これだけ柔軟に対応することは難しいと思います。
「確実に翌日に商品を手元に」というお客さまからの厚い信頼は、強く認識しています。

他社との差別化を実現する

― 他社との差別化が、「当日受注・当日発送を確実に任せられる企業」という点にあることは分かりましたが、それはどのように実現されているのでしょうか。

(山東氏)「スピードを追求する」「生産ラインを止めない」という2点を、重視しています。

― 「スピードを追求する」について、スピードが必要なのはどの製造現場でも同じだと思いますが、具体的には。

スピードが命です

(山東氏)確かにどの製造現場でもスピードは大切でしょう。
ただし当社の場合、15時までに受注した商品を当日発送する必要があるのです。
少しでもミスやロスがあれば定期便のトラックには間に合いません。また、送付ラベル印刷など、製造現場以外の作業もすべて同時進行なので、ロスなくスムーズに進行させる必要があります。
万が一、定期便に間に合わない事態となれば、特別にチャーター便を手配せざるを得ません。そうすると、その注文は赤字となり、大問題になってしまいます。

― では、「生産ラインを止めない」については。

(山東氏)システム障害が発生すると、製造指示データが流れないので生産ラインを止めざるを得ません。
復旧に時間がかかるとチャーター便を使っても納期に間に合いません。しかし、機械なので100%障害が起きないということはあり得ません。
したがって、障害発生時いかに早く復旧させるかがポイントです。

― システム障害発生時には、復旧のためにどのような対応をとっていたのですか。

(山東氏)「HICORE-Products」導入前は、システム障害が起きると西日本にあるプラント会社系のシステム会社と連絡をとって、場合によっては那須まで足を運んでもらっていました。
しかし、当社のシステムが分かる担当者は1人だけでしたので、なかなかその担当者が捕まらず困ることもありました。
さらに、導入当時の会社が合併などで組織が変わり、対応が二転三転していましたが、年に1~2回程度の出来事ですし、そのための解決策も何ともしようがなかったですね。

― 生産ラインがストップし、納期に間に合わないと分かった場合、お客さまにはどのように対応したのですか。

(山東氏)残念ながら、納期を遅らせていただくしかありませんでした。
(斎藤氏)お客さま1軒1軒に、お詫びの連絡をしていました。「当日受注・当日発送」を強みとしている当社だからこそ、信頼してくださった大切なお客さまです。全員で誠心誠意対応しました。

生産管理システム入れ替えのきっかけ

― 既存の生産管理システムを入れ替えたきっかけは、「生産ラインを止めたくない」という思いからでしょうか。

(山東氏)いいえ、直接のきっかけは、導入から7年が経過し老朽化していたためです。
システム障害対応などに不安はありましたが、当社のようなプロセス・バッチ系の製造業は、プラントの制御装置へシームレスに製造指示を出すことができなければ製造が止まってしまいます。ですから、プラントメーカーさんに一式丸投げというのが当たり前なのです。
このような背景もあり、工場側ではシステム会社を替えるという発想はありませんでした。

― なるほど。システム会社を替えるという発想は、元々なかったのですね。

(システムの構築)

販売管理システムとプラントへの製造指示システムとを中継する難儀なシステム構築

日立システムズのイメージ -実は不安があった-

― システム担当の斎藤さんにお聞きします。実際に会う前の日立システムズのイメージはいかがでしたか。

(斎藤氏)実はシステム会社が替わるということで、正直言いましてプラントとの連携など、どこまでできるのかと懸念していたことは事実です。

― 不安を抱えていたということですね。

(斎藤氏)はい。でも日立システムズ主催のセミナーで、実際のユーザーによる導入事例を聞き、少し安心しました。
しかし、今回のシステム構築の範囲が、販売管理システムとプラントへの製造指示システムとを中継する難儀な部分だったので、やはり多少の不安は残りました。

― 「製造指示を中継する難儀なシステム」とは、具体的には。

(斎藤氏)具体的には、「生産管理システム」という製造指示を中継するシステムを依頼したかったので、他社が構築した販売管理システムと生産制御システムのデータ連携が必要でした。
しかし、この生産管理システムはドキュメント不備だったので、仕様が不明確な部分はプログラムを解析する必要もありました。リバースエンジニアリングというらしいのですが。

実際のシステム構築の流れ -難題山積みの中で-

― 「他社が構築したシステムとのデータ連携」、「他社プログラムの解析」と難しそうなキーワードが並びましたが、実際は日立システムズとどのようにシステムを構築したのですか。

(斎藤氏)従来のシステム会社と連絡がつかなかったため、まずは手元にあるドキュメントを検証するところからスタートしました。また、仕様が不明確な部分はプログラムの解析をしていただきました。
次に、不要な機能と必要な機能が混在する中、精査して「HICORE-Products」を用いたシステムが完成しました。大変な苦労をされたのではないでしょうか。
また、大元のホストを替えた訳ではないので生産管理システムの範囲で付加できる最大限のことを、提案していただきました。
さらには、依頼していたこと以外にも業務の現状によりフィットするための提案もしていただき、嬉しい驚きでした。

コストの評価 -なぜ納得できたのか-

― 視点を変えて、コスト面の評価についてお聞きします。懸念事項が解消されたことは分かりました。しかし、そこまでのことをすると、コスト面で納得はいきましたか。

(斎藤氏)結論から申しますと、納得しました。
ここまでのことは本来オーダーメイドでないとできません。しかし、「ゼロ」から開発するとなると相当なコストがかかります。
一方、「HICORE-Products」は業種テンプレート+部品活用型ソリューションである「セミオーダーメイド」だったので、それなりのコストでご提案いただくことができました。

日立システムズのシステム構築範囲

― 日立システムズと構築したシステムの範囲を教えてください。

(斎藤氏)以下のシステムを構築しました。

  • 受注受付
  • 生産計画(翌日製造分割付・当日製造分割付)
  • 計画変更→製造指示書作成・ラベル作業伝票作成
  • 製造管理(製造実績)
  • 照会
  • マスタ保守
  • 通信管理

(導入効果)

従来のシステムと比較して改善された3点

― 「HICORE-Products」に切り替えて、以前と比べて良くなった点はありますか。

(黒崎氏)改善された点は3点あります。

  • 「生産を止めない=安定・継続した生産」が可能になった
  • 「処理スピードの高速化」
  • 容易なデータ参照を実現した「汎用検索」

― 順番にご説明お願いします。まず、「生産を止めない=安定・継続した生産」とは。

作業指示書の出力が格段にスピードアップ

(黒崎氏)最大の改善点です。先日、ホストから生産管理システムへデータが飛ばないという通信系のトラブルが発生しました。その際、今回導入した緊急の入力システムを初めて使い、生産ラインを止めず稼働し続けることができました。
ただ、入力項目が多く実用的でないことが分かりました。入力をサポートする機能を準備することが今後の課題ですね。しかし、最悪の事態は防ぐことができて助かりました。

― つづいて、「処理スピードの高速化」とは。

(黒崎氏)以前と比べかなりスピードアップしました。
割付操作をして作業指示書を出力するのですが、1分1秒を争う現場では大変助かっています。
また、新たなソフトの提案やラベルやフォーマットの改良なども大きなプラスになっています。

― 最後に、「汎用検索」についてお願いします。

(黒崎氏)データ抽出が容易なのでいいですね。ISOの資料作成の際にも大変重宝しました。

(まとめと今後の展望)

進化し続けるシステムへ

アフターフォローの評価

― 日立システムズのアフターフォローについては、いかがですか。

(黒崎氏)進捗状況の確認などのために、2か月に1度の定例会やそれ以外にも那須にお越しいただいています。

― そうですか。継続的にコミュニケーションをとっているのですね。

はい。「完成しました。以上です。」ということではなく、さらなる使い勝手の良さ、必要に応じた柔軟な機能の追加なども行っていただいています。

今後の期待

― 今後の日立システムズへの期待についてお聞かせください。

「共同作業で、システムを作りました」

生産管理システム導入後も、継続的にコミュニケーションをとっているので、ニュアンスを汲み取ってくれるというのでしょうか、多くを語らず分かっていただけますので、安心してお任せできます。
「多様なニーズにマッチするワイドバリエーションで、スピーディーにお応えする」という当社の経営理念をともに追求していただけると有難いです。

お客さまについて

社名
山一化学工業株式会社
設立
1952年(昭和27年) 8月11日
工場所在地
栃木県大田原市蛭田 1-221 (品川台工業団地内)
本社所在地
東京都台東区上野 1-10-12 商工中金・第一生命上野ビル 10F
URL
http://www.yamaichikagaku.com/

取材および写真撮影にご協力いただいたお客さま、ご協力ありがとうございました。

取材日:2007年3月

本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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